パイロットになるには
すごく陳腐なタイトルになってしまった。
どうも春原です。こんにちは。
今回は自分用としてもパイロットになるための進路の整理をしたいと思います。
あくまでエアラインパイロットへの進路について書きたいと思います。
日本人がエアラインパイロットになる進路として、
国内では現在この6つがメジャーになっていると思います。
個々についてメリットデメリットを考えたいと思います。
海外航空会社の自社養成(cadet pilot programme)については、国籍などの制限がある場合があるので今回は割愛します。
⑥に関しても、しばらく自衛隊で勤務する必要があること、エアラインに転職できる人員数も限られていることからここでは割愛します。すみません。
①国内エアラインによる自社養成
費用 ☆☆☆☆☆(実質負担なし)
難易度 ★★★★★
現在は青と赤と空のエアラインが現在実施しています。現在日本を飛んでいる大部分のパイロットは、この自社養成と後述する航空大学校出身者のようです。
☆募集要件
・青
・空
メリット
・正社員待遇
これが一番大きなメリットだと思います。要するにお給料を貰いながら訓練を受けることができます。当然ボーナスやその他福利厚生も受けられるわけで、他の進路に比べてこの点は大きなアドバンテージになりそうです。
・訓練修了時にエアラインの副操縦士になれる
これも大きなメリットだと思います。航空大学校も卒業した場合は多くの方はエアラインに就職されていますが、当然就職活動をした上で採用・入社になりますから100%エアラインのパイロットになれるわけではありません。(かなりの高確率でパイロットとして就職できるとは思いますが)
その点、一度訓練生になり無事に訓練を修了すればそのエアラインの副操縦士になることができるわけです。すごい。
さらに、赤と青の場合はフラッグキャリアですから待遇は折り紙付きで、比較的早く大型機に副操縦士として搭乗して飛ぶこともあるそうです。これは世界でもかなり珍しいパイロットのキャリアのようです。
・訓練費用がかからない
これも、他の進路に比べてかなり大きなメリットでしょう。パイロットの訓練費用は高額です。それを全て会社が払ってくれる上にお給料まで貰えます。これは神。
しかし、同時に後述するデメリットにも繋がります。
・訓練サポートが手厚い
赤や青のエアラインの場合、長年自社養成を行っているため訓練のサポートなどは手厚いと思われます。あくまで、海外で自費でライセンスを取得する場合に比べてですが。安心して訓練を受けられるというのは大いに価値があるでしょう。
デメリット
・副操縦士になれない場合もある
会社が訓練費を出している以上、訓練途中のチェックで合格するまで面倒を見るということはしないようですね。例えば2回チェックにフェイルしたら訓練中止とかあるようです。その場合は部署変えして事務総合職になるという話も聞きましたが、詳しいことは正直わかりません。その辺りは各社に問い合わせてみてください。
・しばらくはそのエアラインで働く必要がある
これは、デメリットになるかは微妙ですが、パイロットになったら海外エアラインに転職したいという人もいるかと思うので一応。
自社養成を実施している各社は副操縦士となった場合には、当然自社で働いてもらうことを想定しているので、数年間はその会社で副操縦士として働くことになるでしょう。
まあ、フラッグキャリアの副操縦士になった場合に転職したいという人はそんなにいないかもしれませんが。
・すぐに訓練に入れるわけではない
会社によるとは思いますが、訓練に入る前に地上勤務を1年~2年間くらいするそうです。ミス・パイロットというドラマでは、訓練生たちがグランドスタッフと整備を経験していましたが、実際には基本的にずっと同じ部署で地上勤務をするみたいですね。
ただ、航空大学校などから就職する場合でも、この地上勤務は半年以上はすることにはなるみたいですね。これは日本のエアライン独特の特徴のようです。
・選考倍率が高い
これを言ってしまったらおしまいですが、選考の倍率がとても高いです。数ある企業でもかなりの倍率です。100〜300倍以上になります。
ちなみに、就活シーズンになって初めて自社養成の存在を知って、ダメ元でちょっとエントリーした人が受かるパターンもあるみたいです。
②国内LCCによる自社養成
費用 ★★★★☆(ただし訓練手当・ローン有り)
難易度 ★★★★☆
今のところは1社のみがやっているのかな。上記の自社養成と分けたのは待遇などが異なるためです。この自社養成システムについては前に記事を書いたのでそちらも参照してみてください。
☆募集要件
・桃
メリット
・訓練中は社員になれる
身分としては契約社員となるようですね。同時に訓練手当として月額23万円を貰えるようです。この点は自費でライセンスを取得するよりも恵まれてますね。同時に保険などにも加入することにはなるようです。ただボーナスはありません。
・訓練用のローンがある
これはメリットにもデメリットにもなりますね。ただ、自費でライセンスを取得する余裕がない人にはありがたいシステムなのではないでしょうか。ちなみに、何かあって訓練が中止になった場合は、返済免除になるようです。
ちなみに訓練中は利息のみ返済して、副操縦士訓練生として雇用された場合全体を分割返済していくそうです。
デメリット
・訓練費用が自己負担
訓練費用は自己負担です。1300万円程度らしいです。そんなん無理!という人のために上記の訓練用のローンが設定されているわけですね。しかし、ローンということは借金ですからね。免許取れても借金は残る。パイロットになれることを考えると、人によってはそれほど苦ではないかもしれませんが。
・この会社の副操縦士になれるかはわからない
訓練を全て修了した場合、入社意思があればまた選考を受ける必要があります。この選考も必ず通過するわけではないでしょう。(基本的には採用するらしいですが)
③航空大学校
費用 ★★★☆☆
難易度 ★★★☆☆
安心と信頼の航空大学校。自社養成と並んでオーソドックスなルートですね。僕も2年前に受験しました(落ちたけど)。多分また挑戦します。
☆募集要項
メリット
・圧倒的な実績がある
長年日本のパイロットを輩出してきた実績とノウハウがあります。最近新規機材も導入されましたね。そのせいで学費上がったけど。
これって大きなメリットだと思います。日本の航空業界とも強固なつながりがありますから、訓練手法が時代遅れになるということもないでしょう。
・日本国内で訓練を行う
航空大学校には宮崎・帯広・仙台にキャンパスがあり、座学と実機の訓練を行います。自社養成では国内で訓練を行う場合もありますが、海外での訓練も行われます。日本国内で全て訓練ができるというのは、精神的に楽ですね。
・入学試験がある
試験はメリットと違うという突っ込みを受けそうですが、その内容の事です。一次選考が筆記、二次選考は身体検査、三次試験が面接です。
この筆記試験は完全に点数だけで合否が出るので、自分の実力で選考通過を勝ち取れるわけです。自社養成の選考は面接やGDなどがメインなので、面接官との相性や精神状態にも合否が左右されますよね。そういう意味で、自分が点数を取れれば一次試験は突破できるというのは非常にフェアだと思います。ちなみに一次選考の点数(正確には偏差値)は三次選考まで考慮されます。
・学費が比較的安い
最近学費上がったけどな!自費でライセンス取得する場合や②の自社養成に比べて訓練費はかなり安いです。比較してですけど。学費に加えて寮費や生活費を考慮しても500万円は切るでしょう。決して安くはないけれど、それでも相場よりは安いんです。
デメリット
・訓練中止がある
航空大学校は学費を納入して教育を受けるわけですが、訓練試験を何回もパスできなかった場合などは訓練中止になる場合もあるようです。その学生のためにずっと機材を使うわけにもいきませんし、他の同期とのカリキュラムにずれが生じます。そのためその場合には退学しなければなりません。
・必ずしも就職できるわけではない
そもそもパイロットも会社に所属するサラリーマンです。航空大学校生も就職活動をしてエアラインに入社してから副操縦士を目指します。この時に、希望とは違うエアラインに採用されるかもしれませんし、そもそも航空需要が少なくなっていれば採用されない可能性もあります。ただ、この場合はもちろん日本の多発限定事業用操縦士の資格は取得していることにはなります。
・全寮制
これは人によってはデメリットだと思い、こちらに表記しています。航空大学校に入学した場合約2年間の在学中は寮生活をすることになります。キャンパスの近くに住んでいるからといって自宅から通うことは出来ません。
しかし、同期と親交を深めたり、勉強をお互い助け合えるなどメリットもかなりあると思います。
④国内私立大学や専門学校の航空操縦科
費用 ★★★★★
難易度 ★★☆☆☆
数年前から私立大学が航空操縦学科でパイロットを目指す人も増えてきました。学士の肩書を貰うと同時にパイロットにもなれる。う~ん羨ましい。パイロットの資格を取得するための専門学校も日本には存在します。
☆募集要件
沢山あるのでここでは割愛。調べてみてください。
メリット
・大学で操縦を学べる
これがなによりのメリットでしょう。ある意味自社養成より羨ましい。4年間じっくりと腰を据えて操縦を学んで資格も取得していくのでしょう。大学も卒業した直後にエアラインに入社ですから、副操縦士になれる年齢も早い。ということは飛行時間も稼げる。
・偏差値がそれほど高くない
後述しますが、学費が高いので志望者や受験者数がそこまで多くありません。その関係もあり、全体的にそれほど偏差値が高くない気がします。総合的に見ると倍率や難易度は自社養成や航空大学校ほどではないんじゃないかな。どうなんでしょう。
デメリット
・学費が高い
これが一番大きなデメリットでしょう。機材費や海外などでの訓練費や人件費その他諸々を一大学で管理しますから、かなり学費は高いです。だいたい4年間で1200万~3000万円かかります。最近になって国と航空会社が協力して奨学金などを立ち上げましたが、それを使ってもまだ高いです。経済的に余裕がなければなかなか難しいかもしれません。
・歴史が浅い
これ自体がデメリットというよりは、例えば教育陣にノウハウがまだ足りていなかったりだとか、エアラインから見ると、航空大学校のようにOBが自社にいるわけでもないから、どれくらいのレベルの卒業生なのか分からないという点が問題なのかもしれません。
しかし、最近では就職実績もかなりよくなっているようですね。
⑤自費で操縦士ライセンスを取得する
費用 ★★★★★
難易度 ★★★★☆
航空大も自社養成も駄目だった場合、この進路を取る人も多いようですね。大抵の場合は海外でライセンスは取ることになると思います(訓練費が比較的安いため)。すごくチャレンジングな進路ですが、自費で免許を取得して今ではメジャーなエアラインで飛んでいる方も、ネットで調べるとたしかにいらっしゃいます。
☆募集要件
これもフライトスクールによってまちまち、取得できる免許も異なります。
費用に関してはフライトスクールの学費は座学授業料と、実機訓練の機材レンタル代+インストラクターの指名代という場合が多いようですね。
メリット
・自力でパイロットを目指せる
これはメリットなのだろうか...しかし、自分の都合に合わせて訓練をしていけるというのはメリットでしょう。それにいざエアラインに就職できた時の嬉しさはひとしおなんだろうなあ...
・訓練中止がない
自分で学費を払うわけですから、当然PPL(自家用操縦士)などのチェックに合格するまで追加の訓練を受けることができます。お金はかかりますが、心理的な安心感はありそうです。
・海外エアラインに就職できる
上記までの進路だと、数年間は国内エアラインで勤務することになりますが、この進路だと最初から海外エアラインに就職することもできます。
ただ、ビザが必須の国もありますので、その場合には永住権などを取得する必要があります。(未経験パイロットにビザを発給してくれる企業は少ないため)
(追記) 現地で就職するためには、それなりの時間とコネクション、ビザが必要になるようです。
そのため、基本的には海外でCPLなどの資格を得たあとに帰国して、日本の免許に書き換えるという流れが多いようです。
デメリット
・お金がかかる
海外のフライトスクールで現地の操縦士免許を取得することになるわけですが、フライトスクールの学費に加えて現地での生活費などもかかるでしょう。これは結構馬鹿にならない額になります。少なくともそれなりに貯金をしてからでないと厳しそうです。
日本で仕事をしながら時々休暇を取って、海外に渡航して訓練...という方法もあるみたいですが、それを許してもらえる会社ってどれぐらいあるんだろう。
・言葉の問題
海外で訓練を受ける上で言語の問題は常に必要です。他の進路でもインストラクターとの会話や座学でも英語は必要ですが、自費の場合はフライトスクールの入校から始まり、何から何まで自力でやる必要があります。頼る相手もいないですから英語力は必須です。
日本でエージェントを通じて訓練することも可能ですが、トラブルを避けるために事前に入念に調査した上でエージェントを選定することが重要でしょう。
お金の問題ともあわせて考えると、海外駐在中の会社員が勤務時間外にフライトスクールに通うというのが一番現実的...なのかな
それぞれのルートについて一長一短あります。
個人的に、現状で最速でパイロットになるという点と、パイロットになれる確度から考えると、私立大学の操縦科が一番いい気がします。ただ学費は高いですね笑
選考に通過してしまえば①の自社養成もかなり魅力的です。しかし、こちらもフェイルの可能性や入社選考が狭き門であるという側面もあります。
自分に適した道を探すことが重要ですね。
それではまた次回。
※今回もまた春原調べの記事です。ここは間違っているよとか、これ追加してほしいなどのご要望があればお気軽にご指摘ください。